ビットコイン半減期と価格との関連

 本稿では、これまで4年に一度到来してきたビットコインの半減期が、これまでビットコイン自体の価格形成にどのように影響を及ぼしてきたと考えられるのかを振り返ることとしたい。



一、半減期とは


 ビットコインの新規発行は、マイナーによる(※1)マイニングによって行われる。マイニングは約10分に1回成功するように自動調整される仕組みとなっており、マイニングに成功したマイナーは報酬として、新規発行されたビットコインを得ることができる仕組みとなっている。この新規発行されるビットコインの数量が、21万ブロックが生成される毎に半減するイベントを「半減期」と呼ぶ。なお、マイニングによるブロックの生成は約10分に1回行われるため、半減期は約4年に1回ごとに生じる計算となる。


 (※1)ビットコインには中央管理者が存在しないため、ネットワーク参加者たちで取引記録をまとめる必要があり、これをまとめたものをブロックチェーンと呼ぶ。ブロックチェーンに正確に記帳できた人に報酬としてビットコインが与えられる仕組みのこと。


 


二、半減期が必要な理由


 中央銀行が通貨供給量を管理する法定通貨とは異なり、ビットコインには中央管理者がいないため、発行量を随時コントロールできない。そこでビットコインには2100万BTCの発行枚数の上限が設けられており、これは変わることはない。一方、発行上限に達するまで同じペースでビットコインがマイニングされると、急激なインフレが生じる可能性がある。そのため考案された仕組みが半減期だ。マイニング報酬を半分にするタイミングを設けることで、新規発行でもあるマイニング過剰防止を調節しながら市場への供給を維持し、マイニングによる記帳の正確性を保持する。



三、過去の半減期後の価格推移


 これまで、半減期後にBTC価格が急騰した歴史がある。そのため、BTC半減期は直近で投資家が注目する最大のイベントになっている。


① 1回目の半減期(2012年11月)

 当時価格は約11.7ドル(約1,000円)、半減期の4ヶ月後の2013年3月頃にはキプロスショックの影響を大きく受け、一時240ドルまで上昇して、約半年間は基本横ばいで推移、その後中国でのビットコイン取引急増を受けて、10月〜12月ごろにかけて急上昇となった。2013年11月には、年間最高値1,130ドルまで上昇して、半減期から1年で価格は約100倍に上昇した。


② 2回目の半減期(2016年7月)

 当時の価格は約650ドル。2016年中は緩やかに上昇したが、2017年に入り急激に価格が上昇。2017年4月に日本で改正資金決済法が施行されて、高値2900ドルまで上昇した。


③ 3回目の半減期(2020年5月)

 数ヶ月前にコロナショックの影響で暴落してしまっていた価格も、半減期が近づくにつれて以前の水準まで回復。8月に入ると、イーサリアム系の銘柄(特にDeFi銘柄)が高騰した影響を受け、ビットコインも前月比27%程度まで上昇した。その後いったんは落ち着くものの、10月〜11月にかけて大きな上昇を見せた。2020年後半は、米国上場企業が数十億〜数百億円単位でビットコインを大量購入や、シティバンクの機関投資家向けレポートに「21年12月末までにビットコインは318,000ドル(約3,000万円)になる」との予想が出された。翌2021年には、4月14日に史上最高値64,840ドル(約712万円)を更新後は、上述の動きから5月19日には29,000ドル(約314万円)まで下落した。



四、半減期と需給


 これまで3回の半減期を振り返ると、2020年以降旺盛な機関投資家の需要があるものの、敢えて需要が変化しない・または需要が減少しないことを前提に考えると、需要と供給曲線でも、半減期を迎えるとビットコインの価値は上昇しやすくなるという点だ。


 図の均衡点(オレンジ部分)をビットコイン価格とすると、半減期を経て新たなコインの供給量が減ると供給曲線が左へ動く。これにより均衡点、すなわちビットコイン価格が上昇すると説明できる。供給曲線は今後も半減期を迎えるごとに今後も左へ動いていく。




五、半減期とハッシュレート


 2020年5月12日、ビットコインが3度目の半減期を迎えた。マイニング報酬は12.5BTCから6.25BTCと半減した。注目すべき点としてはハッシュレート(採掘速度)があげられる。マイニングコストが変わらないのに対して、マイニング報酬が半減するので、マイナーたちの損益分岐点は著しく上昇するので、マイニング事業から撤退するマイナーが相次ぎ、ハッシュレートが低下する。ハッシュレートの低下はネットワークの集権性を表す(マイナーが減少する)ため、セキュリティ上の懸念が発生したり、トランザクション処理が遅延したりといった問題が浮上する。


 ビットコインのハッシュレートは、半減期直後は過去いずれも下落傾向があったため、再び上昇傾向に入るまでは注意が必要だ。ハッシュレートはディフィカルティ(採掘難易度)によって調整される。ビットコインでは、2016ブロック毎(約2週間)にディフィカルティが調整され、ハッシュレートに影響を及ぼす。つまり、直近2週間のハッシュレートが低い場合、翌2週間のディフィカルティが高くなる(採掘速度が速い場合は採掘難易度を高くして調整するということ)。こうして、ビットコインネットワークは非中央集権制を維持し、平均10分に1度の頻度でブロックが形成されるようになっている。2020年5月の半減期に合わせて、ブロックチェーン関連のデータ分析企業Glassnodeによると、ビットコインの半減期による価格上昇を期待からか、1万BTC(約100億円)以上を保有するウォレットアドレス数が増加したことも明らかにされている。ビットコイン半減期は、約4年に1度の出来事であることから毎度多くの注目を集める。上述のように半減期後にディフィカルティ調整が行われるまでは、引き続き注目したい。



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